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Chapter 5. 重なりゆく年輪に、時間を預ける - Harmony -
思考の記録:なぜ、味噌を届ける形が「バウムクーヘン」だったのか
それは、百五十年の歳月をかけて醸された味噌の深みを、
同じように「時間を塗り重ねる」ことで表現したいと考えたからです。
職人が火の前で生地の状態を見極め、一層ずつ丁寧に塗り重ねていく年輪。
この重なりが生み出す「しっとりとした密度」こそが、
長い年月をかけて熟成された味噌の「底知れぬ旨味」を受け止めるための、最高の調和でした。
かつて信州の家庭で、囲炉裏の火を囲み ながら、
時間をかけて作られた汁物が人々の心と体を温めてきたように。
このバウムクーヘンもまた、一層ずつ積み重なった時間が、
手にする人の心を静かに満たしていくことを願っています。
信州の厳しい冬が育んだ発酵の文化と、
職人が一層一層に込める一途な手仕事。
その二つの「時間」が溶け合い、一つの形になりました。
この一輪を切り分けるとき、そこには百五十年の香りと、
私たちがこの地に寄せる敬意が、等しく重なっています。

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