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Chapter 2. 蔵の深み - 150 Years -

思考の記録:非効率という名の価値。150年の蔵が守るもの

「機械で一定の味は作れる。でも、それ以上のものには、必ず人の手が不可欠なんです」

創業明治二年。信州須坂の「糀屋本藤醸造舗」の職人は、静かにそう語った。
大手メーカーが完全機械化による温度管理を進める中、この蔵では今も、自然の温度変化に寄り添い、菌の呼吸を手で確かめるという「あえて残された非効率」を守り抜いている。

和食文化が変化し、伝統的な味噌蔵が次々と姿を消していく時代。
「たとえいつか蔵が終わる日が来ても、ここに糀屋があったという事実を、確かな味として残したい」という職人の矜持。

「遥 -haruka-」の核となるのは、長野県知事賞を受賞した最高級ソムリエ味噌「匠白」と「匠赤」の独自のブレンドである。
アルコール(洋酒)の香りに頼る必要などない。150年の時が醸した蔵付き酵母の深みと、職人の手仕事の温度。その圧倒的な事実だけを、私たちは一本の年輪の中に閉じ込めた。

これはお菓子ではない。
途絶えさせてはならない信州の伝統を味わうための、ひとつの儀式である。

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