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Chapter 3. 素材の対話 - Craft -

思考の記録:「引き算」の先にある、大人のための美食

バウムクーヘンの常識である「小麦粉」を使わない。
白砂糖を避け、「きび糖」を選ぶ。

それは単なる健康志向(トレンド)ではない。
150年熟成された味噌の複雑な香りと、素材が持つ本来の輪郭を、一切の濁りなく伝えるために行き着いた「必然の引き算」だ。

小麦粉の代わりに選んだのは、淡路島産の「生米粉」。米の細胞を壊さない特殊な気流粉砕技術が、飲み物が不要なほどの圧倒的な保水力(しっとり感)を生み出した。かつて日本の食卓の主役であった「お米」と「味噌」が、現代のガトー(洋菓子)として再会した瞬間である。

保存料や香料といった派手な飾りは、一切削ぎ落とした。
だからこそ、熟成味噌がもたらす「あまじょっぱさ」は、シャンパーニュの泡や、重厚な赤ワイン、あるいは琥珀色の熟成日本酒と見事に同調する。

忙しい一日の終わりに、静かな夜の奥行きを取り戻すための大人の嗜好品。

大切な人の健やかな日常を願う「思いやり」と、嘘のない「本物」だけを贈る。
150年の歴史を、遥か彼方の未来へと繋ぐ。その祈りのすべてを、この円に込めて。

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